NIS2011、NIS2012ではスケジュールされた期間を過ぎてもアイドルスキャンが実行されていない場合、マシンの実行ジョブの有無やCPU負荷が100%近くであろうが、100MB/secのディスクアクセスがあろうが、これらの状況を一切無視して、キーボードとマウスの操作がなければアイドルスキャンを開始してしまう「アイドルタスク強制実行」がなされます。 来るべきNIS2013ではこの「アイドルタスク強制実行」を容認するか禁止するかをユーザーが選択可能なつくりに改造することを強く要望します。
私見ですが、これは技術的な問題ではなくて、Symantecの開発方針によるものだと考えています。
即ち、「NISをインストールしているにも拘わらずウイルス被害にあってしまった」というようなクレームの発生を避けるために、ユーザーへの影響はどうであれ、とにかくスキャンしてしまえということなのでしょう。
ユーザーのパソコンの使い方は多様です。 過酷ジョブを走らせるユーザーはLANケーブルを抜いて外界からの影響を遮断して、予定時間内にジョブを終了させようと努力しますが、この際にこの「アイドルタスクの強制実行」機能が大きな不安材料であり、時によっては「アイドルタスク強制実行」が原因となって予定時間内に処理が終わらなかったことによって大きな被害がもたらされます。
従って、極論すれば、ウイルスに感染していてもかまわないから、ネットワーク接続を遮断して他への感染を防いだ上で、とにかく時間内に処理を終わらせることが最重要課題と考えるユーザー(場合)もあるわけですので、この「強制実行機能」は使うか使わないかを選択できるようにするべきです。
どこを調べても「コンピュータがアイドルな状態」というのに明確な数値的条件が説明されている資料は見つかりませんでしたが、例えばスクリーンセイバーが動作している状態というのは、必ずしもアイドルスキャンを実行してもよい状態を反映していません。 スクリーンセイバーはあくまで画面の焼きつき防止のためであり、起動条件としてマウスとキーボードの操作頻度しか見ていませんので、同じ起動条件をアイドルタスクに当てはめることは、まったくのお門違いだといえるでしょう。
つまり、NISは定義されてなくていい加減な「コンピュータがアイドルな状態」ではなくて、「本当にアイドルタスクを実行しても走行中のほかのジョブに影響が出ない状態」を使うべきなのです。 その数値的なthresholdをユーザーが設定したり変更を加えることが準備されていないNISでは、最低限として「アイドルタスクの強制実行」を認めるか認めないかの選択肢をユーザーに与えるべきだと思います。
何度も述べますが、マシンが本当にビジーな状態が発生場合の殆どでは、実行中のジョブの終了まで時間を要するため、操作者はマシンを離れ、場合によってはディスプレイの電源も落として、処理終了予定時間に再びマシンをチェックするという動きをとります。まさに現状ではスクリーンセイバーが発動する「コンピュータがアイドルな状態」と判断されてしまうケースが発生します。 十分な事前準備を行ってバッチスクリプトを作成するなどして、GUIによるインタラクティブなやり取りを不要にして、バッチジョブを起動する場合もあるでしょう。パソコンの処理能力が向上したので、従来汎用機やスパコンで行ってきた科学技術計算をパソコンで実行することが可能になり、このような場合、過酷ジョブが数日にわたり無人状態で実行されることも珍しくありません。 操作者はマシンの処理能力とジョブの重さを考慮して終了時刻を予測し、それに基づいて生活のスケジューリングをしますので、上記「アイドルタスクの強制実行」により走行中のジョブの進行が阻害されると、ジョブが予定時間に終わらないために、大きな社会的被害が発生する場合があります。