ノートン 2011製品開発の裏側:パフォーマンス戦略

数年前を思い出してください。当時の一般的な考え方は「セキュリティのためには、パフォーマンスを犠牲にしなければならない」というものでした。しかし、それでお客様は本当に満足していたのでしょうか? 私たちは、何度となく議論を重ねました。その結果、製品にはセキュリティ機能の効力と精度を求めるだけではなく、お客様が感じるパフォーマンスへの影響を最小化することも重要であることに気がつきました。そこで、新製品では「パフォーマンスへの影響の最小化」を新たな挑戦ととらえて方向性を定めました。私たちは、業界のリーダーとして製品には常に最先端の技術を投入していました。しかし、この新しい方向性は従来の技術の修正だけでは到底対応できるものでもなく、新しい挑戦が必要です。私たちはこの挑戦が必ずお客様にとって、よりよい価値になると信じています。

 

この挑戦には従来の考え方を大きく変える必要がありました。全ての人が同じコンピュータシステムを使用して、同じアプリケーションをインストールしているとは限らないからです。私たちの製品は様々なコンピュータの環境で使われるため、どのような場合でも、パフォーマンスの向上を提供する必要があります。しかし、私たちには多くの実績と長い経験がありました。そのうえで、実現可能な挑戦だと確信できました。

 

ノートン 2011製品のパフォーマンス向上点

 

リアルタイム操作の高速化

企業、個人にかかわらず、さまざまな用途でコンピュータは使用されています。インターネット、メール、ファイルのコピー、ソフトのインストールなどなど。これらの作業はいずれも悪質なプログラムの侵入口になる可能性があります。必然的にセキュリティソフトは、これらの作業を監視することになります。作業を多く行うとその作業を監視するためにコンピュータのパフォーマンスは低下します。この点に特に注意してノートン 2011製品は設計されました。特にファイルのコピーやアクセスの時など、リアルタイム操作時にコンピュータに与える影響を最小化し、お客様の作業効率を向上させています。これは以下のように実現されました。

 

・スキャンの効率化とコンポーネントのアクションを最小化

・ファイルアクセスパターンの最適化

・ファイルキャッシュアルゴリズムの拡張

・メモリ使用量の低減

・システム仕様に基づいた動的な設定の適用

 

起動の高速化

どのようなコンピュータでも使用する前には電源を入れて起動します。起動スピードについては当初から私たちが重視していた点ですが、今回いくつかの劇的な改善を行うことができましたが、さらなる改善が可能と考えています。

 

既に実現した改善点をご紹介します。いずれも、システムの起動中に隠されたパフォーマンスのボトルネックを特定する革新的な内部ツールを開発したことで実現したものです。これにより、ノートン 2011製品はコンピュータの起動速度と、その時点の保護に劇的な効果を与えます。

 

・ノートンの起動項目の順番を最適化

・システム起動時のスキャンを統合しCPU使用率を最小化

・メモリマップとキャッシュアルゴリズムを改善し、ファイルI/Oを低減

・他のアプリケーションとのリソース競合リスクを最小化

 

こうした新しいアプローチを利用してCPUとI/Oトラフィックを再構築し、システム起動の高速化を実現しました。

 

システムのアイドル状態におけるリソース利用率の改善

ノートン 2011製品では、クイックスキャンなど、コンピュータがアイドル状態時に行うタスクのスケジュール設定ロジックが改善されています。これにより、最適なパターンで実行され、電力消費も低減されます。さらに、コンピュータのスリープ状態と休止状態が影響を受けずに確実に応答し、動作するようになります。

 

終了の高速化

開発者の観点からは、終了は起動と同様に難しい課題です。OSによって終了される直前にプロセスの全てのプラグインを問題なくオフにしなければなりません。相互依存するプラグインの配列が乱れるとシステムが不安定になり、システムパフォーマンスに影響を与えることがあります。ノートン 2011製品は停電やユーザーによる強制終了などの予期しない終了による影響を最小限に抑えます。終了プロセスが高速化されたことで、ディスク消去タスクを瞬時に中止することができます。

 

メモリメトリクスの拡張

ノートン2010は既に、業界でも最小水準のメモリ使用量を実現していましたが、メモリ管理は複雑な問題です。ノートン 2011製品の開発にあたって、Private Bytes、Virtual Bytes、Page Faults、Process Threads および Handles を対象にメモリメトリクスを拡張しました。まず製品内で機能するコンポーネントすべてのリソースサイズを確認するところから開始し、類似のプロセススレッドを統合しました。現在私たちは、各メモリタイプについて、すべての問題点や改善点を特定するための努力を継続しています。私たちのテスト結果では、私たちは正しい方向に向かって進んでいることが示されており、近い将来結果をお客様に公開する予定です。

 

まとめ

製品のパフォーマンスを向上する私たちの取り組みに終わりはありません。私たちはベストプラクティスを追求し、お客様の利便性に貢献する最速のセキュリティ製品を提供するために進化します。ノートン 2011製品のパフォーマンスの向上は、お客様のコンピュータ上で実行される日々の作業を大幅に改善します。これらの改善は、私たちが最速のセキュリティ製品という1 つのゴールに向かって一丸となって邁進してきたこと、およびお客様からの価値あるフィードバックの成果です。ノートン 2011 ベータ版の感想をぜひお聞かせください。また、さらなるパフォーマンスの向上に向けてのご提案も歓迎いたします。私たちは、最速のセキュリティ製品を提供するために、他にも重要なアイディアを検討しています。さらなるアップデートを楽しみにしていてください。ノートン 2011製品が正式に出荷されるまでに、さらなる改善が行われる見込みです。

 

最後になりましたが、いつも私たちの製品をお使いいただき、継続的なパフォーマンス向上にお力添えくださる熱心なお客様に心より感謝申し上げます。

 


この記事は Norton Protection Blog(英語)にてDC Chungによって掲載された内容を日本向けに編集された記事です。原文(英語)はこちら。